ふと思ったんです。
もし、財布がしゃべれたらどうなるんだろう、と。
しかも、ただしゃべるだけじゃなくて、レジの前で、いちばん聞いてほしくないタイミングで、こう聞いてくる。
「それ、本当に要る?」
……想像しただけで、ちょっとドキッとしませんか?
レジ前で、財布が口を開く
たとえば、コンビニで飲み物を買うつもりだったのに、レジ横のスイーツをひょいとカゴに入れた瞬間。
財布が小さな声で言う。
「……それ、今日食べたかったやつ? それとも、レジ横にあったから?」
うっ、と詰まります。
正直に答えるなら、後者です。完全に後者です。
でも、財布に聞かれると、言い訳が一気に通用しなくなる気がします。「ご褒美だから」と答えても、「昨日もご褒美って言ってたよ」と返されそうで、もう何も言えません。
「今だけ限定」に弱い人、財布の前で正座する
さらに怖いのが、「今だけ限定」「残りわずか」「本日限り」の三兄弟です。
あの言葉を見ると、頭の中で「今買わないと一生出会えないかもしれない」という謎のスイッチが入ります。
そこで財布がひとこと。
「それ、先月も限定だったよ」
……そうなんですよね。限定って、だいたいまた来るんですよね。
あの瞬間に財布がそっと止めてくれたら、どれだけの「なんとなく買ったもの」が、家に来ずに済んだでしょうか。
押し入れの奥で眠っている、使いかけの何かたちにも、ちょっと申し訳なくなってきます。
でも、財布が毎回止めてくるとしたら、それはそれで息苦しい
とはいえ、です。
もし財布が毎回毎回「それ、本当に要る?」と聞いてきたら、たぶんだんだん疲れてくると思うんです。
- 友達とのごはんで「それ、本当に要る?」
- 好きな作家の新刊を前に「それ、本当に要る?」
- 疲れた日のちょっといいコーヒーにも「それ、本当に要る?」
いやいや、それは要るんです。
お金って、「必要なものを買う」ためだけにあるわけじゃなくて、「心がちょっと元気になるもの」にも使っていいはずなんですよね。
だからこの世界の財布には、もう一段階、賢くなってほしい。
「それ、本当に要る?」の次に、こう続けてほしいんです。
「……要るなら、胸を張って買おう」
結局、聞いてほしいのは「自分への問い」なのかもしれない
ここまで書いてきて、気づきました。
財布が聞いてくる世界を想像しているようで、実は、自分で自分に聞けるかどうかの話なんですよね。
- これは「欲しい」のか、「安いから」なのか
- 買ったあと、ちゃんと使っている自分が想像できるか
- 一週間後も、同じ気持ちでいられそうか
この三つを、レジの前で一呼吸おいて考えるだけで、財布の中身の減り方って、けっこう変わる気がします。
しかも、止めるためじゃなくて、納得して買うための問いです。
納得して買ったものは、たとえ高くても、あとから後悔しにくい。逆に、なんとなく買ったものは、安くても、なぜかモヤッとする。
お金の使い方って、金額よりも「納得感」なのかもしれません。
今日からできる、財布ごっこ
というわけで、まずは小さなところから、「財布ごっこ」を始めてみませんか?
レジに並ぶ前に、頭の中で財布に聞かせるんです。
「それ、本当に要る?」
答えがすぐに出たら、堂々と買う。答えに詰まったら、いったんカゴから出して、一周ぐるっと回ってくる。
それでも戻ってきたくなったなら、それはきっと、本当に欲しいもの。
財布がしゃべらなくても、自分の中に小さな財布の声を飼っておく。それだけで、お金とのつきあい方は、ちょっとだけやさしくなる気がします。
あなたの財布が、もしひとこと聞いてくるとしたら、どんな言葉だと思いますか?
ちなみに私の財布は、たぶん無言でため息をついています。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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