「今だけ限定」。
この6文字を見た瞬間、私の財布のひもは、ほんの少しだけゆるむ。
いや、正直に言おう。かなりゆるむ。
「限定」の二文字は、なぜあんなに強いのか
スーパーの店頭で「本日限り!」の赤いポップを見つける。コンビニで「期間限定フレーバー」の文字に出会う。ネットショップで「残り3点」の表示を目にする。
そのたびに、頭の中でこんな会話が始まる。
「いや、別に今すぐ必要ではないんだけど」
「でも、今だけなんだよな」
「次はもうないかもしれないんだよな」
「…買っとくか」
この間、わずか数秒。
冷静に考えれば、必要かどうかの議論は一度も終わっていない。それなのに「今だけ」という言葉が、議論そのものをなかったことにしてくれる。
負けた記録を、少し振り返ってみる
思い返せば、私の「今だけ限定」の戦績は、なかなかにひどい。
・使い切れなかった大容量パック
「通常より30%増量!今だけ!」に惹かれて買ったものの、賞味期限までに食べきれず、冷蔵庫の奥で静かに眠っていた。
・結局一度も着なかった服
「本日限定のタイムセール」で買った一着。タグがついたまま、クローゼットの住人になっている。
・まとめ買いで安くなったはずの日用品
一つあたりの値段は確かに安い。でも置き場所に困り、「安く買ったはずなのに、部屋が狭くなった」という新しい出費(?)を生んだ。
・期間限定のサブスク無料体験
「今だけ1か月無料」と始めて、解約するのを忘れ、気づけば何か月も払っていた。
こうして並べてみると、「安く買えた」という喜びよりも、「買ったことを忘れた」という反省のほうが多い。
「安い」と「得」は、別の話
ここで、あらためて気づいたことがある。
「安い」と「得」は、似ているようで、まったく別物だということだ。
どれだけ値引きされていても、使わなければ、それはただの出費。逆に、定価で買っても毎日使うものなら、それは立派な得になる。
「今だけ限定」が刺激しているのは、「得をしたい」という気持ちよりも、「損をしたくない」という気持ちのほうだと思う。
「今買わないと損するかもしれない」という不安。この不安が、私たちの判断を、ほんの少しだけ急がせる。
最近、試している小さなルール
そんな私が、最近こっそり試しているのが、次のルールだ。
1. 「それ、明日も欲しいかな?」と一度だけ自分に聞く
聞いてみると、意外と答えが「うーん…」になることが多い。
2. 買う前に「いつ使うか」を一つだけ思い浮かべる
具体的な場面がすぐ浮かべば買う。浮かばなければ、そっと棚に戻す。
3. 「限定」は、逆にチャンスだと思うことにする
「限定だから買う」ではなく、「限定でも買わなかった自分、えらい」と思うようにする。これが意外と気持ちいい。
完璧にできているわけではない。今でも、赤いポップの前で立ち止まることはある。
おわりに
「今だけ限定」という言葉は、悪者ではないと思っている。
本当に欲しかったものと出会えるきっかけになることもあるし、ちょっとした楽しみをくれることもある。
ただ、その言葉に流されるのか、自分で選ぶのか。そこだけは、少し意識していたい。
今日もどこかで「今だけ限定」の文字が、誰かの足を止めているはずだ。
もしあなたにも、「あれは負けたなあ」という思い出があるなら、ぜひ振り返ってみてほしい。意外と、笑える話がたくさん出てくるかもしれない。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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