夜、部屋の明かりを少し落として、
机の上に通帳を置く。
開く前のその一瞬が、
いちばん緊張する。
ぱらりとめくると、
整然と並んだ数字たち。
そこには喜びも後悔も書いていない。
ただ、事実だけが並んでいる。
入ってきた日。
出ていった日。
その横に小さく刻まれた記録。
あの日の自分の選択が、
静かに残っている。
思ったより減っているときは、
少しだけ胸がざわつく。
増えているときは、
ほっと息が深くなる。
でも、どちらもほんの一瞬だ。
通帳は感情を持たない。
責めもしないし、褒めもしない。
ただ、私の暮らしを映す鏡のように、
黙ってそこにある。
通帳を見つめる静かな時間は、
お金を見る時間というより、
自分を見つめる時間なのかもしれない。
焦りすぎていないか。
無理をしていないか。
ちゃんと前を向けているか。
最後のページを閉じるとき、
小さく深呼吸をする。
数字は今日の結果。
でも、明日の選択はまだ白紙だ。
通帳をしまい、
部屋の灯りを戻す。
静かな時間は終わるけれど、
その余韻は、しばらく胸の中に残っている。
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