景気が悪い、と誰かがつぶやく。
ニュースでは株価がどうとか、金利がどうとか、難しい言葉が並ぶ。
けれど、もっと単純な話なのかもしれない。
お金は「流れ」だ。
川のように、街から街へ、人から人へ、会社から会社へと渡っていく。
その流れがあるから、商店の灯りは消えず、給料日は安心に変わる。
でも今、その流れをみんなで止めている気がする。
将来が不安だから使わない。
先が見えないから投資しない。
何が起こるかわからないから、財布の紐を強く結ぶ。
その気持ちは痛いほどわかる。
けれど、全員が同じことをすれば、川は干上がる。
たとえば、
誰かが外食をやめれば、飲食店の売上が減る。
売上が減れば、従業員の給料や仕入れが減る。
仕入れが減れば、卸業者の売上が減る。
小さな「やめる」が、連鎖していく。
景気とは、数字だけではなく、空気でもある。
「使っても大丈夫」という空気。
「挑戦してもいい」という空気。
それが冷え込むと、お金は動かなくなる。
日本では長くデフレが続き、人々は「安いこと」に慣れすぎた。
値上げは悪、という空気。
利益は取りすぎ、という空気。
でも、利益が出なければ給料は上がらない。
給料が上がらなければ、また使えない。
この循環のどこかで、ブレーキが踏まれている。
もちろん、無理に使えと言う話ではない。
無計画な借金や浪費は別問題だ。
ただ、必要なものまで我慢し続ける社会は、
やがて活力を失う。
お金は貯めるものでもあるけれど、
回すものでもある。
川を完全に堰き止めれば、
やがて水は腐る。
少しずつでも流すこと。
信頼を取り戻すこと。
未来を信じられる空気をつくること。
景気が悪いのは、
本当にお金が足りないからなのか。
それとも、
流れを怖がりすぎているからなのか。
そんなことを、
レシートを眺めながら考えている夜である。
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