ふとしたとき、店先にちょこんと座っている招き猫に目がいく。
あの小さな手の動きは、とてもゆっくりで、
どこか時間の流れまで穏やかにしてくれるようだ。
右手をあげている猫はお金を招き、
左手をあげている猫は人を招くと言われている。
そんな話を聞いたことがある。
けれど、じっと見ていると、
そのどちらも、ただ「来てほしい」と願っているだけのようにも思えてくる。
忙しさに追われていると、
お金はどこか遠くて、冷たいもののように感じることがある。
数字の増減に一喜一憂して、
本当は何のために必要だったのか、わからなくなる瞬間もある。
そんなとき、招き猫のゆっくりとした動きを思い出す。
急かすこともなく、焦ることもなく、
ただ静かに「大丈夫」と言っているような気がする。
お金はきっと、追いかけるものというよりも、
静かに整えた場所に、自然と訪れるものなのかもしれない。
部屋を少し片付けてみたり、
机の上を整えてみたり、
そんな小さなことの積み重ねが、
見えない流れをゆるやかに変えていく。
招き猫は何も語らないけれど、
その姿はどこか、暮らしのあり方をそっと教えてくれているようだ。
無理に手を伸ばさなくてもいい。
ただ、自分の場所を整えて、静かに待つ。
その時間の中で、必要なものは、きっと少しずつやってくる。
今日もどこかで、あの小さな手が、
変わらずゆっくりと動いている。
0 件のコメント:
コメントを投稿